おばあちゃんが亡くなったのは、90歳を迎える少し前のことでした。
今からもう60年ほど前の話です。
おばあちゃんは、とても優しい人でした。
怒っている姿を見た記憶はほとんどなく、
いつも周囲に気を配り、誰からも好かれていました。
晩年は癌を患っていましたが、
苦しむ様子もなく、静かに、眠るように旅立ったと聞きました。
そのとき私は、
「おばあちゃんみたいな生き方をすれば、楽に死ねるんだ」
そんなふうに思っていました。
けれど・・・・
それは、私の大きな思い違いでした。
帰ってきたおばあちゃんの顔
自宅に戻ってきたおばあちゃんの顔を見た瞬間、
私は言葉を失いました。
そこにあったのは、
私の知っている「おばあちゃんの顔」ではなかったのです。
いつもの柔らかく、女らしい、優しい表情ではなく、
口元は歪み、顔色はどす黒く、骨ばった印象で、
どこか男性的で、険しい顔。
まるで、
この世への恨みや無念を、そのまま顔に刻み込んだような、
今まで一度も見たことのない表情でした。
あまりにも衝撃が大きくて、
その話は長い間、誰にもできませんでした。
20年以上経ってから、
ふとしたきっかけで母にその話をすると、
母もまた、同じことを感じていたことを知りました。
「あれが、おばあちゃんの本当の顔だったのかもしれないね」と。
優しさの裏にあった「我慢の人生」
今になって思えば、
おばあちゃんはずっと、我慢の人生を生きてきたのだと思います。
当時はそれが当たり前だったのかもしれません。
軍人上がりで、身勝手な祖父に振り回されながら、
自分の気持ちを表に出すことなく、
いつも周囲を優先し、自分を押し殺して生きていた。
優しさとは、
我慢することだと思っていたのかもしれません。
そして、
生きている間ずっと抑え込んできた「本来の自分」が、
最期の最期に、顔となって現れてしまった・・・・
私は、そう感じました。
あの日、私が決めたこと
その出来事以来、
私は一つのことを、心に決めました。
わがままになる、という意味ではありません。
自分勝手に生きる、ということでもありません。
けれど、
自分を抑えつけて生きるのは、やめようと。
思っていること。
言いたいこと。
やりたいこと。
それが誰かに大きな迷惑をかけることでないのなら、
できる限り、自分の意思を大切にしよう。
たとえ思い通りに通せなくても、
我慢して飲み込むのではなく、
折り合いをつけながら、自分を置き去りにしない生き方を選ぼう。
何もせず、耐えるだけで、
自分を捨てて生きる人生は、もう終わりにしよう。
開運終活とは、「最期の顔」を選ぶこと
終活は、
モノを片付けることでも、
死の準備をすることでもありません。
私は、
「どんな顔で最期を迎えたいか」を考えること
そこから始まるものだと思っています。
その顔は、
今日一日の積み重ねでつくられます。
自分を大切にしてきたか。
本音に耳を傾けてきたか。
我慢だけの人生になっていないか。
おばあちゃんの死に顔は、
私にそれを、静かに、そして強烈に教えてくれました。
開運終活とは、
「後悔のない最期」を迎えるための、
今の生き方を整えること。
そう、私は信じています。
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